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退職所得

1.退職所得の意義
 
  退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける
  給与及びこれらの性質を有する給与に係る所得をいいます。
 
 
2.退職所得の計算
 
  (収入金額(税引前)-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額
 
 
3.退職所得控除額
 
 (1)退職所得控除額は勤続年数に応じて次のように計算します。
 
    勤続年数(A)   退職所得控除額
    20年以下     40万円×(A)(最低80万円)
    20年超      800万円+70万円×((A)-20年)
 
   (具体例)勤続年数32年の場合
      800万円+70万円×(32年-20年)=1,640万円
 
  (注)障害者になったことに直接基因して退職した場合は
     上記の金額に100万円を加算します。
 
 (2)勤続年数の計算
   ①勤続年数は原則として、就職日から退職日まで引き続き勤務
    した期間を基礎に計算します。
    (勤続年数の1年未満の端数は切り上げします)
   ②勤続期間には、見習い期間、臨時雇期間、長期欠勤期間、
    休職期間も含まれます。
   ③他社で勤務していた期間は原則として勤続年数に含まれません。
    ただし、他社勤務期間を含めて退職手当等を計算している場合
    には、その他社勤務期間を勤続年数に含めます。
   ④同じ年に2以上の退職金の支給を受ける場合
    それぞれの退職手当の勤続期間のうち、最も長い期間を
    勤続期間とし、重複しない期間がある場合には重複しない
    期間をプラスします。
 
    (具体例)
     今年20年勤務したA社と、10年勤務したB社を退職し
     退職手当を受けた。A社の退職日は3月末、B社の退職日
     は9月末だった。
 
     → A社の勤続期間30年に重複しない期間6ヶ月をプラスした
       30年6ヶ月となり、勤続年数は31年(1年未満切り上げ)
       となります。
 
 (3)前年以前4年内に退職手当等を受けている場合
   ①原則
    その年に支払いを受ける退職手当等の勤続期間の一部が、
    前年以前4年内に支払いを受けた退職手当等の勤続期間と
    重複している場合は次のように退職所得控除額を計算します。
     
    イ.その年の退職手当等の退職所得控除額
     (1年未満切り上げ)
    ロ.重複している期間を勤続年数とみなして計算した
      退職所得控除額(1年未満切捨て)
    ハ. イ-ロ=退職所得控除額
 
   (具体例)
    今年25年3ヶ月勤務したB社を退職し退職手当の支給を受けた。
    なお、去年16年9ヶ月勤務したA社を退職し退職手当てを受けて
    いる。なお、A社から受けた退職手当は800万円である。
 
    イ.B社から受けた退職手当係る退職所得控除額
      800万円+70万円×(26年-20年)=1,220万円
    ロ.重複期間を勤続年数とみなした退職所得控除額
      40万円×16年=640万円
    ハ. イ-ロ=580万円 → 今回の退職所得控除額
 
   ②前の退職手当がその退職所得控除額に満たない場合
    前の退職手当の額がその退職手当に係る退職所得控除額よりも
    少ない場合は、重複期間を次のように計算する。
    イ.前の退職手当が800万円以下の場合
      前の退職手当÷40万円=重複期間(1年未満切捨)
    ロ.前の退職手当が800万円超の場合
     (前の退職手当-800万円)÷70万円+20年
      =重複期間(1年未満切捨)
 
    (具体例)
     今年25年3ヶ月勤務したB社を退職し退職手当の支給を受けた。
     なお、去年16年9ヶ月勤務したA社を退職し退職手当てを受けて
     いる。なお、A社から受けた退職手当は500万円である。
 
     イ.B社から受けた退職手当係る退職所得控除額
       800万円+70万円×(26年-20年)=1,220万円
     ロ.重複期間を勤続年数とみなした退職所得控除額
       500万円<40万円×17年=680万円
       ∴ 500万円÷40万円=12.5年 → 12年
         40万円×12年=480万円
     ハ. イ-ロ=740万円 → 今回の退職所得控除額
 
 
4.収入計上時期
 
 (1)原則は退職日に計上します。
 
 (2)役員の場合は、株主総会等で各人別の支給額が
    具体的に確定した日に計上します。
 
 
5.源泉徴収・特別徴収
 
 (1)所得税の源泉徴収
   ①「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合(注1)
    (退職手当-退職所得控除額)×1/2×超過累進税率(注2)
        千円未満切捨
 
    (注1)「退職所得の受給に関する申告書」は税務署に提出する
        必要はなく、会社に保管しておけばOKです。
    (注2)超過累進税率(所得税の税率)は次のとおりです。
        課税標準           算出税額
            195万円以下     課税標準×5%
      195万円超 330万円以下   課税標準×10%-97,500円
      330万円超 695万円以下   課税標準×20%-427,500円
      695万円超 900万円以下   課税標準×23%-636,000円
      900万円超1,800万円以下   課税標準×33%-1,536,000円
     1,800万円超          課税標準×40%-2,796,000円
 
   ②「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合
     退職手当×20%
 
 (2)住民税の特別徴収
    「退職所得申告書」を提出している場合には、次の税額が
    特別徴収されます。この場合、退職金についての住民税の
    課税は完結しますので、翌年の住民税が増える心配はあ
    りません。なお、「退職所得申告書」は所得税の
   「退職所得の受給に関する申告書」と同じ用紙
    になっています。
 
   (退職手当-退職所得控除額)×1/2×税率(注)×0.9
 
    (注1)住民税の税率は次のとおりです。
        10%(市町村民税6%、道府県民税4%)
    (注2)退職手当等の支払者は、特別徴収した税額を
        翌月10日までに、退職した年の1月1日現在の
        住所地の市町村に納付する必要があります。
 
 (3)一の年にニ以上の退職手当の支給を受ける場合
    最初に退職手当の支給を受ける会社に「退職所得の受給に
    関する申告書」を提出し、次に支給を受ける会社には
    最初に受けた退職手当の額、源泉徴収税額、勤続年数等を
    記載した「退職所得の受給に関する申告書」と最初に
    受けた退職手当に係る「退職所得の源泉徴収票」を
    提出します。
 
 
6.課税方法と確定申告
 
  退職所得は他の所得とは分けて課税標準を算出し、超過累進税率
  により所得税が計算される分離課税方式により課税することに
  なっています。
  上記5(1)のように「退職所得の受給に関する申告書」を提出
  している場合は、正しい計算で所得税が源泉徴収されているため、
  確定申告をする必要はありませんが、5(2)のように「退職所得
  の受給に関する申告書」が提出されていない場合は、確定申告
  をして所得税の精算をする必要があります。
  ただし、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合
  でも損益通算や所得控除の関係で、確定申告した方が有利になる
  場合もあります。
 
 
7.留意事項
 
 (1)解雇予告手当
    労働基準法の規定による解雇予告手当は退職所得になります。
 
 (2)打切支給の退職手当等①
    使用人から役員に昇格したときに、使用人であった期間の
    退職手当等として支給されるものは、原則として退職所得
    になります。
 
 (3)打切支給の退職手当等②
    定年到達後引き続き勤務する使用人に、定年前の期間の
    退職手当等として支給されるものは、退職所得となります。
 
 (4)厚生年金基金から退職一時金として受けたものは退職所得と
    なります。
 
 (5)確定給付企業年金法に基づく一時金、確定拠出年金法に基づく
    一時金は退職所得となります。
 
 (6)中小企業退職金共済制度(中退共)や特定退職金共済制度
   (特退共)から受ける一時金は、退職所得になります。
 
 (7)小規模企業共済に基づく一時金のうち次のものは退職所得になります。
    ①事業廃止等による共済金
    ②65歳以上の者が解約した場合の解約手当金
    ③役員退任等による解約手当金
    この場合の勤続年数は加入期間で考えます。
 
  (8)死亡した者の退職手当で死亡後3年以内に支給が確定したものは
     相続税の課税対象となるため、所得税は課税されません。
    なお、死亡後3年を超えて支給が確定したものは、遺族の一時所得
    として所得税の対象となります。
 
  (9)退職手当を分割で受ける場合
     本来一度に支給されるべき退職手当が会社の資金繰りの都合等で
     数回に分割して支払われることになる場合には、退職手当の総額を
     原則として退職日の属する年に認識します。この場合の退職所得
     に係る所得税の源泉徴収は、分割で退職手当が支払われた都度
     次の算式による金額を天引きすることになります。
     (算式)
      源泉徴収すべき所得税の総額×支払額/支払総額
 
 (10)未払いの退職金が支給されないこととなった場合
    例えば退職金総額1000万円のうち半分の500万円の
    支給を受けたとします。退職所得は退職日に総額を認識
    するため、1000万円の退職手当を基礎に退職所得の
    計算がされます。この後、残りの500万円につき
    会社の倒産により受けられなくなった場合には
    退職日の属する年に遡って修正をすることになります。
 
    修正の仕方は次のとおりです。
    ①確定申告していない場合
     → 還付を受けるための確定申告を行います。
    ②確定申告している場合
     → 更正の請求をします。
 
 
税理士 名古屋/名古屋の税理士法人スプラウト
   
 
 
 

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