スタッフみんなで日々の出来事をつづっています。

給与所得

1.給与所得の意義
 
  給与所得とは、俸給(公務員が受ける給与)、給料、賃金、歳費
 (国会議員が受ける給与)及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に
  係る所得をいいます。
 
 
2.給与所得の金額
 
  給与収入の金額(税引前) - 給与所得控除額(注) =給与所得の金額
 
  (注)給与所得控除額の計算は次のとおりです。
 
     給与収入            給与所得控除額
     180万円以下           給与収入×40%(最低65万円)
     180万円超  360万円以下     72万円+(給与収入-180万円)×30%
     360万円超  660万円以下    126万円+(給与収入-360万円)×20%
     660万円超 1,000万円以下    186万円+(給与収入-660万円)×10%
   1,000万円超            220万円+(給与収入-1,000万円)×5%
 
 
3.収入計上時期
 
 (1)原則として支給日に認識します。
 
 (2)役員賞与については株主総会等で各人別の支給額が具体的に
     確定した日に認識します。
 
 (3)賃金規程を改訂したことによる、新旧給与の差額についてはそれを
     支給した日に認識します。
 
 (4)未払いになっていた過年度分の残業代がまとめて支給された場合には、
     過去のそれぞれの本来の支給日に遡って認識します。
 
 
4.源泉徴収
 
   給与については、月給か日給か、給与所得者の扶養控除等申告書
   提出されているか否か、扶養親族等の数などを考慮して、所得税額が
   源泉徴収されます。
 
   源泉徴収は給料については「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」、
給与所得の源泉徴収税額表(日額表)」に、
  賞与については「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に
   当てはめて行います。
 
   月額表は給与を毎月支払う場合に、日額表は働いた日ごとに給与を
   支払う場合や給料を日割り計算する際に使います。
 
   月額表には甲欄と乙欄の2つが、
    日額表には甲欄、乙欄の他に丙欄があります。
  給与所得者の扶養控除等申告書の提出がある場合には甲欄、
   提出がない場合には乙欄、日雇や短期のバイトの場合は丙欄を
   それぞれ使っていきます。
 
  扶養親族等の数の求め方は
  控除対象配偶者、年齢16歳以上の扶養親族、障害者
  (特別障害者を含む)、同居特別障害者、寡婦又は寡夫、
   勤労学生をそれぞれ一人としてカウントします。
 
 (例1)
   本人===妻(控除対象配偶者
      |             → 扶養親族等の数は2人
      子(扶養親族(16歳以上)
 
 
 (例2)
         本人(寡婦
      |             → 扶養親族等の数は2人
      子(扶養親族(16歳以上)
 
 
 (例3)
  父(扶養親族)===母(扶養親族障害者同居特別障害者
          |
                 本人===妻(控除対象配偶者)  → 扶養親族等の数は5人
  
    
 
5.源泉徴収税額と本来の税額の精算
 
  毎月の給与から源泉徴収された所得税額と、
   本来の1年分の所得税には通常ズレが出てきます。
   会社に給与所得者の扶養控除等申告書を提出している人は、
   通常年末調整により所得税の精算を行います。
   ただし、給与収入が2000万円超の人その他一定の人は
   年末調整が受けられませんので確定申告をする必要があります。
 
 
6.役所への提出
 
 (1)源泉徴収票
   給与所得者のうち以下に該当する人は、会社の所轄税務署に対し
源泉徴収票」を提出しなければなりません。
    ・法人の役員で年間給与が150万円を超える人
    ・弁護士、会計士、税理士等で年間給与が250万円を超える人
    ・使用人で年間給与が500万円を超える人
    ・中途退職をした役員で年間給与が50万円を超える人
    ・中途退職をした使用人で年間給与が250万円を超える人
    ・月額表・日額表の乙欄、丙欄が適用される人で年間給与
        が50万円を超える人
 
 (2)給与支払報告書
      全ての給与所得者については「給与支払報告書」を原則として
     翌年1月1日現在における各人の住所地の市区町村に提出
     しなければなりません。
 
   
7.課税されないもの
 
 (1)出張旅費等
    出張旅費は実費弁償的な性格のものなので非課税となります。
     なお、旅費規程に基づく場合は、実額を超えている部分(出張手当)
     も非課税となります。
 
 (2)通勤手当
    通勤手当で月10万円以下の金額は非課税です。
    非課税の詳細は下記のとおりです。
 
       区   分                  非課税額
   ①公共交通機関を利用している人      1月あたりの合理的な運賃等
   ②自動車、自転車通勤の人        片道45㌔~     24,500円(注1)
                         35㌔~45㌔   20,900円(注1)
                        25㌔~35㌔   16,100円(注1)
                        15㌔~25㌔   11,300円(注1)
                         10㌔~15㌔    6,500円
                         2㌔~10㌔    4,100円
                           ~ 2㌔       0円
 
    (注1)仮に公共交通機関を利用した場合の1月あたりの運賃の額の方が
             多いときはその運賃相当額まで非課税になります。
 
    (注2)有料道路を利用する場合は、②の金額に1月あたりの合理的な
             利用料をプラスした金額までが非課税となります。
 
 
 (3)宿日直料
    勤務一回につき支給される宿日直料のうち4,000円までの部分は
     非課税となります。
   なお、宿日直に際し支給される食事がある場合には、
     その食事の価額を4,000円から控除します。
 
 (4)結婚祝い金、香典等
    結婚祝い金や香典等については社会通念上相当と認められる
      範囲であれば課税されません。
 
 (5)制服等の現物給与
    職務上身につける制服その他の身の回り品については課税
      されませんが、 現物支給に代えて金銭を支給した場合は課税されます。
 
 (6)永年勤続者の記念品等の支給
    永年勤続者を表彰するにあたり記念品として支給する旅行、観劇、
    記念品の費用は次の要件を満たす場合は課税されません。
   イ.その記念品等の内容が、勤続期間等に照らし社会通念上相当である。
   ロ.勤続10年以上の者が対象
        (2回目以上の者は5年以上間隔をあけている)
   なお、記念品等の支給に代えて金銭を支給した場合は課税されます。
 
(7)創業、合併等に際しての記念品等
   創業記念や合併記念等による記念品等の支給は次の要件を満たす
    場合は課税されません。
   イ.記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、
        かつその価額が1万円以下である
   ロ.創業記念のような一定期間ごとに支給する記念品は、
        5年以上の間隔をおいて行われている。
 
(8)当社で扱っている製品等の値引き販売
   社内販売等で、通常の市価よりも安く販売することによる
   経済的利益は、次の要件を満たす場合は課税されません。
   イ.値引き販売の価額が、その製品等の取得価額以上であり、
         かつ、販売価額の7割以上である
   ロ.値引き率が、全員一律である。(地位や勤続年数等に応じて
     全体のバランスが保たれている場合は値引き率が一律でなくても可)
   ハ.値引き販売をする数量が、一般消費者が通常消費する程度である。
   なお、製品等が季節商品等で一般販売価額が取得価額を割っている
   場合は、取得価額未満で社内販売しても課税されません。
 
 
(9)金銭の無利息貸付等
   金銭を無利息や通常よりも低い利率により貸しつけた場合の
   経済的利益については、次のいずれかにあてはまれば課税されません。
   イ.災害、疾病等により臨時に多額な生活資金が必要になった従業員
     に対する場合
   ロ.会社の平均調達金利で利息を受けている場合
   ハ.その年の経済的利益が5,000円以下の場合
   なお、結婚や入学等のための貸付金は上記の適用はありません。
 
(10)社員旅行の費用
   社員旅行の費用については、次の要件を満たした場合は課税されません。
   イ.従業員等の参加割合が50%以上であること
   ロ.旅行期間が4泊5日以内であること(海外旅行の場合は現地での滞在
        日数が4泊5日以内であればOKです)
   ハ.社会通念上相当と認められる内容であること
 
   なお、旅行に参加しなかった者に対し金銭を支給した場合は、
    次のような取扱いになります。
         区   分               不参加者
   ①業務都合の不参加者に対し金銭を支給   非 課 税   課    税
   ②自己都合の不参加者に対し金銭を支給   課    税   課    税
 
 
(11)社宅等の貸与
   従業員に対し、社宅等を通常よりも安い家賃で提供した場合でも、
     使用人と役員の区分に応じて次の要件を満たしているときは課税されません。
 
   ①使用人に対する社宅の場合
    次の算式で計算した賃貸料相当額の50%以上の家賃を使用人からもらって
      いれば経済的利益の課税はされません。
 
    (賃貸料相当額の算式)
     イ.家屋の固定資産税課税標準額×0.2%
     ロ.12円×家屋の総床面積/3.3㎡
     ハ.敷地の固定資産税課税標準額×0.22%
     ニ.イ+ロ+ハ=月額賃貸料相当額
 
   ②役員に対する社宅の場合
      他人から借り受けた住宅等を社宅等として貸与している場合には、
     会社が他人に対し支払う賃料の50%と下記の算式のいずれか多い方の
    金額を、役員から家賃としてもらっていれば経済的利益の課税は
    されません。
 
    (賃貸料相当額の算式)
     イ.家屋の固定資産税課税標準額×12%(木造以外は10%)
     ロ.敷地の固定資産税課税標準額×6%
     ハ.(イ+ロ)×1/12=月額賃貸料相当額
 
    なお、自社所有の社宅の場合は、上記の算式で計算した賃貸料相当額を
       役員から家賃としてもらっていれば、経済的利益の課税はされません。
 
(12)食事の現物支給
   ①食事の現物支給については、食事代の半額以上を従業員が負担しており、
       かつ会社の負担額が月3,500円以下の場合には、会社の負担分は給与と
       して課税されません。月3,500円を超える場合には会社負担額が全額給与
       として課税されます。
 
   ②残業者や宿日直者に食事を支給した場合には課税されませんが、
       現物に代えて金銭で支給した場合は給与所得として課税されます。
 
(13)労働基準法の規定による各種補償金
   労働基準法の災害補償の規定による療養の給付、休業補償、傷害補償、
     遺族補償については課税されません。
 
(14)学資金
   業務遂行上の必要に基づき、従業員に対し職務に直接必要な技術や知識
    の習得のための研修会、講習会、大学等の費用に充てるための金額は課税
    されません。
   従業員の子供の就学のために会社が支給する学資金は家族手当と同様の
    性格のため課税されます。
 
(15)在外手当
   海外勤務者に対して支給する在外手当については、その勤務地の物価、
     生活水準、生活環境、為替相場等の状況からみて国内勤務に比して特に利益
     を受けることにならない場合は、課税されません。
 
(16)ストックオプションによる経済的利益
   従業員がストックオプションの権利行使をして自社の株を購入した
   場合の経済的利益はそのストックオプションが適格要件を満たす場合は、
   課税されません。適格要件を満たさないストックオプションの場合の
   経済的利益は給与所得となります。
 
    (適格ストックオプションの要件)
     ①  権利行使価額は、付与時の株価以上
     ②  新株予約権に譲渡禁止規定が付されている
     ③  行使期間は、付与決議後2年超10年以内
     ④  権利行使者の権利行使金額の年間合計額が、1,200万円を超えない
      その他の要件を満たすもの
 
 
8.給与所得者の特定支出控除の特例
 
  給与所得控除の額よりも一定の経費の支出が多い場合には、
   給与所得控除額を超える経費の部分を特定支出控除として給与所得から
   控除することができます。
 
 (1)特定支出の範囲
   ①通勤のための支出(非課税部分を除く)
   ②転勤のための支出
   ③職務上の研修のための支出
   ④資格取得のための支出
   ⑤単身赴任者の帰省のための支出
 
 (2)特定支出控除を使う場合の給与所得の計算
   ①特定支出の額の合計額-給与所得控除=特定支出控除
   ②給与収入の金額-給与所得控除-特定支出控除=給与所得の金額
 
 (3)具体例
    給与収入    500万円
    給与所得控除  154万円
    転勤のための支出       50万円
    単身赴任者の帰省のための支出 80万円
    職務上の研修のための支出   30万円
 
   ①特定支出控除
   (転勤50万円+帰省80万円+研修30万円)-給与所得控除154万円=6万円
   ②給与所得の計算
    給与収入500万円-給与所得控除154万円-特定支出6万円=340万円
 
 
 
9.留意事項
 
 (1)発明報奨金等
    業務上有益な発明等をした者に対して報奨金等を支給した場合は、
     その形態により給与所得・一時所得雑所得・譲渡所得になります。
 
 (2)従業員が借り上げた住宅の家賃の一部を会社が負担した場合
    上記6(11)にある社宅の取扱いは、会社の自己所有あるいは会社が
     借り上げた住宅の場合の取扱いなので、従業員自身が借り上げた住宅の
     家賃の一部を会社が負担した場合には、その負担した部分は給与所得
     として課税されます。
 
(3)健康診断費用
   会社が実施している健康診断の費用(通常の範囲内のものに限ります)
    を会社から直接医療機関に支払った場合は課税されませんが、
    個人的に受けた健康診断費用につき領収書と引き換えに現金で支給したものは
    給与所得として課税されます。
 
(4)社員旅行を数回に分けて実施した場合
   社員旅行費用が課税されないためには、全従業員の半数以上が参加する
    という要件があります。
      例えば業務の都合上日程を3回に分割して社員旅行を実施するような場
     合には、一回当たりの旅行で全社員の半数以上という要件を満たしていない
     ですが、この場合には前3回の旅行を通して半数以上が参加していれば
     問題ありません。
 
(5)不動産会社が社員に対して住宅の値引き販売を行った場合
   上記6(8)に社内販売の課税されない取扱いがありますが、
    これは例えば不動産会社が社員に対し住宅の値引き販売をするような場合には、
    通常の製品等の社内販売と違って受ける経済的利益の額が非常に高額になるため、
    給与所得として課税されてしまいます。
 
(6)給与と請負の判断
   給与とは雇用契約等により労務役務の提供に対する対価として支給される
    ものですが、請負契約に基づく事業所得になる場合との判断が難しいことが
    あります。
   実務上は、次の事項を考慮して総合的に判断することになります。
   ①契約の内容が、代わりの人にやってもらえることか?
    (代替不可の場合は給与)
   ②個々の作業について指揮命令を受けるか?
       (指揮命令を受ける場合は給与)
   ③作業に必要な資材や作業道具を提供しているか?
       (提供を受けている場合は給与)
   ④完成品の不可抗力による滅失の場合に報酬の請求ができるか?
      (報酬を請求できる場合は給与)
 
   なお、課税関係を整理すると
                支払う側   受取る側   消費税
    イ.雇用契約の場合   給  与   給与所得   不課税
    ロ.請負契約の場合   外注費等   事業所得   課 税
 
 
税理士 名古屋/名古屋市の税理士法人スプラウト
   
 

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