住宅ローンにより居住用の住宅を取得等した場合には、年末時点の
借入金残高に一定の控除率をかけた金額が原則10年間にわたり所得
税額から控除されます。
1.対象となる借入金等
(1)銀行等からの借入金等で、償還期間10年以上のもの
(2)次の目的の借入金であること
①家屋の取得のため
②家屋とともに敷地である土地を取得するため
(注)土地だけを取得した場合の借入金は原則として住宅ローン控除の
対象となりません。
ただし、次のいずれかの場合には例外的に対象とすることができます。
(家屋の取得についても借入金があることが条件です)
イ.家屋の新築前2年以内に敷地を購入し一定の要件を満たす場合
ロ.宅建業者から家屋の新築前3ヶ月以内に建築条件付きで敷地を
購入した場合
ハ.家屋の新築前に一定期間内の建築条件付きで敷地を購入した場合
ニ.家屋の新築前に新築工事の着工後に受領した借入金で敷地を購入した場合
③家屋の増改築のため
2.適用要件
(1)新築住宅の場合
①住宅取得後6月以内に入居し、引き続き年末まで居住していること
②床面積50㎡以上で、2分の1以上が居住専用
③控除年の合計所得金額が3,000万円以下
④住宅ローンの返済期限が10年以上
⑤居住開始年の前後5年以内に住宅の課税特例を受けていない
(2)中古住宅の場合
(1)の①~⑤の要件に加えて下記の要件
①建築後使用済みの家屋であること
②建物が次のいずれかに当てはまること
イ.耐火建築物は築25年以内、耐火建築物以外は築20年以内であること
ロ.取得前2年以内に耐震基準等に適合する証明のあること
③生計を一にし購入後引き続き生計を一にする親族から購入したものでない
(3)増改築等の場合
①自己所有の家屋の増改築である
②増改築後の床面積が50㎡以上
③工事費用が100万円を超える
④居住用部分の工事費用が2分の1以上
⑤適用対象となる工事は下記のものです。
イ.増改築、建築基準法に規定する大規模修繕等
ロ.マンション等の区分所有建物のうち、区分所有する床、階段、壁の
過半について行う一定の修繕・模様替え
ハ.居室、調理室、浴室、便所、洗面所等の一室の床や壁の全部
について行う修繕・模様替え
ニ.地震に対する一定の安全基準に適合させるための修繕・模様替え
ホ.高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造や設備の基準に
適合させるための修繕・模様替え
ヘ.エネルギーの使用の合理化に著しく(相当程度)資する修繕・模様替え
3.税額控除の計算(平成21年以降入居の場合)
住宅借入金の年末残高×控除率(注)=住宅借入金等特別控除額
(百円未満切捨)
(注1)原則
居住年 控除率 控除期間 控除限度
平成21、22年 1.0% 10年 年50万円
平成23年 1.0% 10年 年40万円
平成24年 1.0% 10年 年30万円
平成25年 1.0% 10年 年20万円
(注2)認定長期優良住宅※の特例を選択する場合
居住年 控除率 控除期間 控除限度
~平成23年 1.2% 10年 年60万円
平成24年 1.0% 10年 年40万円
平成25年 1.0% 10年 年30万円
※ 認定長期優良住宅とは、長期優良住宅の普及の促進に関する
法律の規定に該当する家屋のうち、その構造及び設備等に関
して耐久性、耐震性、省エネ性能等の一定の措置が講じられて
いる住宅で、長期優良住宅建築等計画の認定通知書において
認定されたものをいいます。
4.手続
住宅ローン控除を受ける最初の1年目は、確定申告をする必要が
あります。
2年目以降は給与所得の方は年末調整で控除することができます。
年末調整の際は金融機関から送られてくる借入金の年末残高証明書
と最初の確定申告後に税務署から送られてくる「給与所得者の
住宅借入金等特別控除申告書」を会社に提出します。
5.添付書類
(1)新築住宅の場合
①給与所得者の源泉徴収票(給与所得の人のみ)
②住民票の写し(入居日の確認のため)
③家屋の登記事項証明書、請負契約書の写し
④敷地等の登記事項証明書
⑤借入金の年末残高証明書
(2)中古住宅の場合
(1)①~⑤の他に下記の書類
⑥債務承継契約に係る契約書
⑦耐震基準適合証明書・住宅性能評価書の写し
(3)増改築等の場合
(1)①、②、⑤のほか
⑧増改築日等の記載のある家屋の登記事項証明書
請負契約書等
⑨建築確認済証の写し、検査済証の写し、又は
建築士、登録住宅性能評価機関から交付を受けた
増改築等工事証明書等
6.住宅ローン控除が受けられない場合
上記の要件を満たしていても次の場合には住宅ローン控除が受けられません。
(1)自己の合計所得金額が3000万円を超える年分
(2)家屋を居住の用に供しなくなった年以後
ただし年の中途で死亡した場合は、その年までは控除できます。
(3)居住の用に供した年とその前年、前々年のいずれかの年について
次に掲げるいずれかの特例の適用を受けている場合や居住の用に供した
年の翌年又は翌々年中に住宅ローン控除の対象となった家屋以外の一定の
資産を譲渡し次に掲げるいずれかの特例の適用を受けている場合には、
その居住の用に供した年以後10年間
イ.居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
ロ.居住用財産の譲渡所得の特別控除
ハ.特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
ニ.特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
ホ.既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための
買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例
ヘ.認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の
交換等の場合の譲渡所得の課税の特例
(4)認定長期優良住宅の新築等に係る住宅ローン控除の特例を選択した
家屋につき計画の認定の取消しを受けた場合には、その取消しを
受けた年以後の各年分
7.留意事項
(1)連帯債務の負担割合の定めがない場合には、家屋の共有持分の比
で住宅ローン残高をわけて計算します。
(2)転勤の場合の取扱い
①家族全員が転勤により空家になった場合
住宅ローン控除の対象となりません。
ただし一定の要件を満たしていれば、転勤が明けて再びもとの家
に居住した場合には、残存控除期間につき住宅ローン控除の適用
が認められます。
②単身赴任の場合
単身赴任で家族はその家に残って生活しているような場合には
引き続き住宅ローン控除の適用が認められます。ただし1年
以上の海外勤務で非居住者となった場合には、家族が国内に
引き続き居住していても住宅ローン控除の適用はありませんの
でご注意ください。
(3)「対象借入金+贈与特例額>住宅取得対価」ときの、その超える
部分の借入金残高は住宅ローン控除の対象となりません。
(注)贈与特例額
・住宅取得等資金の贈与税の非課税
・相続時精算課税選択の特例等の適用額
具体例
家屋の取得対価2,000万円
銀行からの住宅ローン 1,500万円
住宅取得資金の贈与を受けた金額 800万円
この場合
借入金1,500万円+贈与特例額800万円=2,300万円となり
家屋の取得対価の額2,000万円を300万円超えることになり
ますので、住宅ローン控除の対象となる借入金は1,500万円
から300万円を差し引いた1,200万円となります。
(4)繰り上げ返済等により10年未満となった場合
当初償還期間10年超の住宅ローンにつき、繰り上げ返済を
行った結果償還期間10年未満となった場合には、その10年
未満となった年以降は住宅ローン控除の適用ができません。
(5)住宅ローンの借り換えをした場合
当初の住宅ローンを金利の低いローンに借り換えした場合には
次の要件を満たせば、住宅ローン控除の適用ができます。
①新しい住宅ローンが当初の住宅ローンを返済するための
ものであることが明らか
②新しい住宅ローンの償還期限が10年以上であることなど
住宅ローン控除の要件を満たすこと
(6)住民税の住宅ローン控除
平成21年から平成25年までの間に居住を開始して
所得税の住宅ローン控除の適用を受けた者のうち
所得税の計算上控除しきれなかった金額がある場合には
翌年度の個人住民税所得割額からその控除しきれなかった
金額が控除されます。
控除額は前年の所得税の課税総所得金額等に5%を乗じて
計算した金額(上限97,500円)を限度とします。
税理士 名古屋/名古屋の税理士法人スプラウト